リーフ
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PROJECT
STORY

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一人の熱意が全社を動かす。
ゴムの弾力と軽さを両立した
新素材開発

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OUTLINE

熱可塑性エラストマーを用い、ゴムのように弾み、ウレタンのように柔らかく、発泡スチロールのように軽い環境貢献素材「エラスティル」を開発。ランニングシューズへの採用と量産化を実現した挑戦の軌跡を追う。

MEMBER

対談メンバー紹介

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T.M.

総合研究所
基盤技術研究室

(2004年入社)

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S.T.

産業資材事業部
産業資材グループ

(2006年入社)

プロフィール写真

K.S.

第2事業本部
グローバルテクニカルセンター
設計・開発グループ

(2014年入社)

※所属部署は2022年当時のものです。

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SESSION 01

積水化成品の技術なら、
もっといいものが作れる

T.M.

T.M.

このプロジェクトは、当時の中堅社員から選抜された社内研修「積水化成品塾」での活動が発端です。海外メーカーがウレタン素材の発泡ビーズをランニングシューズのミッドソールに採用し、大ヒットしていた時期でした。私は若手時代に熱可塑性エラストマーを扱った経験があり、「積水化成品の技術なら、もっといいものが作れる」と直感したんです。「発泡体そのものが機能の主役となる製品を世に出したい」という技術者としての憧れもあり、開発を提案しました。

S.T.

S.T.

私はその研修の前身となる「開発営業力強化塾」 の一期生で、T.M.さんと一緒でした。当初は別のチームでしたが、途中でT.M.さんのチームに合流し、日系のスポーツ用品メーカーへ一緒に訪問。スポーツ分野は当社にとって未知の領域でしたが、T.M.さんの描いた高反発というコンセプトがメーカー側のニーズと合致し、全社の開発テーマとして正式にスタートしました。

K.S.

K.S.

私がプロジェクトに加わったのは2018年頃からです。積水化成品の強みであるビーズ成形技術を応用し、従来扱ってきた材料では実現が難しかった、高い柔軟性と回復性を兼ね備えた新素材の具現化を担当しました。

T.M.

T.M.

私の役割は、素材技術者として基礎的な材料設計から物性評価までを担うことでした。チームリーダーとして全体の取りまとめも行い、材料やプロセス、設備をすべて「性能起点」で一から構築するという非常に難易度の高いミッションに挑みました。

S.T.

S.T.

当時、私はメキシコに赴任して新会社の立ち上げを行っていました。帰国後、本格的な生産体制の構築と拡販を目指す段階で営業担当になり、海外のお客様や製造委託先の窓口として、技術や工場と連携して量産対応を進めていきました。

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SESSION 02

試作品の山と、
1〜2秒のズレも
許されない成形の壁

T.M.

T.M.

このプロジェクトで求められた成果は、新規製品による新市場の開拓です。既に市場に出ている素材よりいいものを作らないと意味がありません。そのため「より弾み・より柔らかく・より軽い」圧倒的な性能を持つエラストマー発泡体を目指し、昼夜を問わずがむしゃらに研究開発に打ち込み、試作品の山を築いていきました。当社初のプロセスでの製造が必要となり、業界の評価基準も分からず、まさに手探りの状態でしたね。

K.S.

K.S.

確かに、設計や製造側から見てもエラスティルは従来の素材とはまったく異なり、成形条件の微調整が製品品質に大きく影響しました。特に後に追加された植物由来の「エラスティル バイオ」の発泡成形は、加熱時間が1〜2秒ずれるだけで成形不良になってしまうほど、精密な調整と管理が求められる仕事でした。金型として成立しても実際に成形すると失敗するケースも少なくなく、試作と失敗を繰り返して条件を一つずつ検証する日々で…。会社として初の新素材開発で、成形拠点の新設も伴うため、絶対に失敗が許されない緊張感がありました。

S.T.

S.T.

営業面で最も大きな困難は、私が帰国した翌月にコロナ禍となり、緊急事態宣言に伴う行動制限が始まったことです。 今後の積水化成品を代表する新製品になるように、安定生産と利益創出ができるビジネスモデルの確立が私の役割でした。しかし、1年以上の間、お客様のところへも自社の工場へも行けず、製品がどう作られているかも直接見られないまま、拡販と増産体制の構築という重いミッションを達成しなければなりませんでした。未知の領域への挑戦に加えての想定外の事態で、本当に壁の連続でしたね。

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SESSION 03

「全員経営」の実践。
部門を超えたチームワーク

T.M.

T.M.

数々の困難を乗り越えられたのは、最終的に「人」の力だったと強く感じています。部門を越えてさまざまな人に相談し、助けてもらいました。当時の社長からの「開発の最後はお客様と一緒に作り上げるもの」という言葉を指針に、ユーザーと密に連携し、共に製品を作り上げる姿勢を大切にしました。一人の思いつきから始まったものが多くの人を巻き込み、当社の理念である「全員経営」をまさに実践するモデルケースだったと思います。

S.T.

S.T.

本当にそうですね。私はコロナ禍だからこそ、仕事以外の会話も積極的に行い、関係構築に努めました。前任者からのプロジェクトを飛躍させるため、研究、設計、生産、営業の全部門を取りまとめ、困難な時こそコミュニケーションを深めました。海外のお客様とはチャットも駆使し、現地訪問時は食事の機会も設けて相手の想いを汲み取る工夫をしました。

K.S.

K.S.

設計側でも、お客様や金型メーカー、成形メーカーと協力し、デザインレビュー(DR)と呼ばれる打ち合わせを重ねました。デザイン性を重視した海外のお客様からの難しい3Dデータを前に、「この形状は成形できるか」「量産時に品質が安定するか」を一つひとつ確認し、製造可能な形へと調整していきました。製造はベトナム、金型は中国と拠点が分散していたため、頻繁な出張や長距離移動をこなしながら現地での状況確認も積極的に行いました。

T.M.

T.M.

今になって思うと、仕事で少々の問題が起こっても動じない心を持つことができたのは、この当時の経験があるからかもしれません。妥協せずに最高の性能を追求し、チーム一丸となって壁を乗り越えた経験は、技術者にとってかけがえのない財産です。

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SESSION 04

新たな市場を切り拓く。
挑戦のストーリーは次の世代へ

S.T.

S.T.

性能へのこだわりは市場にもしっかり伝わりました。お客様の主要モデルとして発売された際、北米本社だけでなく日本支社や東南アジアの生産委託先からも高い評価を受けました。生産量が増えて部署の主力製品になり、社内の人からも「この靴を買ったよ」と声をかけられるなど、本当にうれしかったですね。私は現在、シート事業部で食品分野の営業をしています。環境は180度変わりましたが、本プロジェクトで培った経験を生かし、新素材の開発提案を通じて今の部署を全社の成長ドライバーにすることが目標です。

K.S.

K.S.

ランニングシューズの販売サイトでも好意的なレビューが多く寄せられました。バイオマス由来の素材へも展開し、安全靴や紳士革靴の中間材にも採用されて疲労軽減に貢献しています。現在私は品質保証部に所属し、製造や技術と連携しながら、品質を結果ではなくプロセスで作り込むことを重視しています。開発から量産まで関与し、クレームゼロを目指してお客様から信頼される仕組みを構築していきます。

T.M.

T.M.

就職活動中の学生さんから面接で「エラスティルの開発に携わりたい」と言われることもあり、挑戦のストーリーが次世代の関心を呼んでいるのは非常に誇りです。私は現在、基礎研究所の評価試験室でマネージャーを務めており、評価分析技術を通じて当社の研究開発をより一層加速させることを大きな使命とし、それを実現できる体制づくりが今の目標です。積水化成品には、年次や年齢に関わらず、情熱があれば全社を巻き込んで新しい挑戦ができる風土があります。皆さんと一緒に、次の革新的な素材を生み出せる日を楽しみにしています。

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